凝視が不要な戦い方について

 

 

執筆者:はやて 

読了までの目安時間:8分程度

 

 

 こんにちは。ぷよらーアドカレ2015(http://freecalend.com/open/mem21576_date201501)の1月4日分を担当するはやてといいます。軽く自己紹介をさせていただくと、大学3年生、ぷよ歴9年、ぷよぷよクラシック6段(全7段中)、2014年度ぷよぷよクラシック最強決定戦予選Bリーグ5位(リーグ内6人中)です。先に断りを入れておきますが、専門用語の解説は無く黒字で文字サイズを統一した文章のみの記事です。ぷよ図など画像を用いた説明は一切ありません。ご了承ください。

 

 

 

――前置き――

 

早速ですがタイトルから語弊が生まれそうなので、予めこの記事では相手を見ることについて「凝視」と「チラ見」に二分します。凝視は相手のフィールドやネクストをしっかりと見て相手の行動を予見することや、発火された連鎖の威力を計ること。チラ見は文字通り相手をチラッと軽く見ること。凝視は不要だけどチラ見はあったらいいかな、というお話です。

 

 私は凝視よりもチラ見、むしろ見ないことすら薦めます。というのも、相手の行動が理解できたところで自分の行動が伴わなければ無意味だからですね。相手を見るよりも自分の積みに集中してほしい、ということです。「2ダブが見えたけど対応できなかった」「本線だとわかったけど伸ばしが上手くいかなかった」「相手見てたら自分の形がわからなくなった」なんていう経験をした人、いませんか?これはそんな方のための記事です。

 

 

 

――本文――

 

 さて、「相手を見る」という漠然とした言葉についてですが、みなさんは相手画面のどこを見るのが一番良いと思いますか? これに即答できる方はなかなかいないと思います。画面下付近の土台を見れば速攻がわかり、画面真ん中付近の土台上を見れば催促などがわかり、画面両端付近の折り返しを見れば本線がわかり(暴発ポイントは折り返し付近に密集してるため)・・・大体で分けてもこれだけの要素があるので、相手画面に視線が行ってもその視線は迷子になってしまいがちかもしれません。そもそも見たところで本当に理解できるかすら怪しいです。

 

 そこで着目するのがタイミングです。同じ選択肢はずっと存在せず、ある時間帯に現れある時間帯に消えます。なので、速攻は大体序盤に来る、催促は大体中盤に来る、といった具合に、自分の中で相手の行動が始まるタイミングを計ることで相手を見る時に見る場所が定まりやすく、チラ見で得られる情報量が多くなり、さらには相手を見ずともまるで見えてるかのような行動が可能になります。

 

 そんなの人によって変わるし、そもそも同じ人が同じタイミングで同じような行動するの?という疑問が浮かんでくるかと思いますが、実は相手をよく観察してみると、意外と同じようなタイミングで同じような行動してたりします。単純に序盤で土台作って中盤で催促して終盤で本線を撃つ、というテンプレートに従ってる人が多いからかな?本題に入る前にこの土台、催促、本線という三つについて細かく見直していきましょう。

 

 土台は速攻の有無だけわかれば良いし、速攻は撃たれてから初めて警戒するくらいでいいと思うので気合入れて見る必要は無いです。本線は相手が苦しそうな雰囲気があれば大体撃ってくるのでそこまで気合入れて見なくてもいいです。適当な割り切り方に見えるかもしれませんが、このくらい適当でちょうどいいくらいです。残る催促ですが、これが一番厄介で試合を左右する要素なので気合入れて見ましょう。

 

 催促と一言で表しても、単発や2連鎖など短くて低威力のもの、2ダブに始まる短くて高威力のもの、4連鎖に始まる長くて高威力のものなど、種類が多いうえにこれらへの対応を間違えると有利不利が一気に切り替わってしまい、場合によっては勝ち試合のはずが負け試合に、なんてことも(逆も然り)。試合を大きく左右するこの催促という要素、相手の連鎖量は見るまで把握することができず、相手が発火するまでに連鎖量を予知することも難しいという曲者。そのうえ相手の発火ボイスが聞こえてから自分が対応手を作り始めても中々勝ちに結びつきにくく、予めある程度対応手を用意する必要があるという極めて厄介な要素です。

 

 そろそろ本題に入りましょうか。この催促という要素がありながらもなお凝視が不要となる戦い方。答えは単純、相手より先に自分が中盤に入ればいいんです。連鎖量がわからずとも、大体は2連鎖→3連鎖→4連鎖と増えていきますね。自分が先に中盤に入っていれば、相手が2連鎖持つ頃に自分が3連鎖を、相手が3連鎖持つ頃に自分が4連鎖を持てるはずです。あとは相手の発火ボイスが聞こえた後でチラ見するなり見ずに慢心するなりして自分の連鎖を合わせてあげてください。慢心しすぎて先撃ちしてしまうと、こちらの連鎖時間中に相手が連鎖を伸ばして後打ち発火してくるので不利です。

 

 では相手より先に自分が中盤に入るためには?前述したとおり土台→催促→本線という流れで見れば、中盤は土台を組み終わったあとということになりますね。つまり土台を早く組み終わることでそれだけ早く中盤に入ることができます。どうすれば早く組み終わるか、というのは単純に薄く平たく組むことで解決できます。縦幅で言えば三列くらいの薄さですね。もちろん連鎖尾はあって一つくらいです(土台の時点では)。

 

 土台を薄く平たく組み、催促を早めに持つ。当然これだけではゲームに勝つことはできません。もう一つ、本線という重要な要素が残っているので、中盤から終盤へ入るためにこの本線とどう向き合うかを考えていきましょう。着目すべきは伸ばしやすい催促と本線思考に切り替えるタイミング、この二点かなと思います。ただ伸ばしやすい催促とは言ったものの、明確な定義なんてありませんし各々の技量によって範囲も様々なのでここではあまり言及しません。本線思考に切り替えるタイミングについて述べていこうと思います。

 

 たまに見かけるのが、いつまでも催促を意識して結局本線がなくなっている人、本線後打ちにこだわるあまり本線を遠くしてしまい結局ツモれない人。非常にもったいないですよね。ここで理解してほしいのは、本線を補助するために催促があるということです。催促を考えるあまり本線がなくなってしまっては本末転倒なのです。あくまで本線が回収率良く発火も近いし伸ばしやすい、そういった余裕があるときに催促を意識するのです。

 

 では中盤から終盤、本線を撃つという思考に切り替える判断基準とは? これも単純、自分のフィールドが苦しくなったら、です。何色を置いても暴発しそうな時、相手のお邪魔を耐えきれそうにない時、中盤が長引き本線が小さくなり過ぎたと感じた時などなど。中盤で催促が刺さらない限り、勝負を決めるのは本線です。

 

 

 

 まとめとして、対戦の流れは「序盤の土台→中盤の催促→終盤の本線」というもので、中でも勝負を大きく左右するのは中盤であること。そして相手より先に自分が中盤に入ることにメリットがあり、そのために序盤の土台を薄くすること。また、円滑に終盤へ移行できるように、自分のフィールドが苦しくなったら本線を撃つ思考に切り替えようということを述べてきました。流れのタイミングを計ることで相手を見ることによる脳の負担を軽減し、自分の積みに集中することで勝ち星を取りやすくしよう、というのがこの記事の伝えたいことです。

 

 凝視不要と大きく打って出たわりに単純で簡素な内容だなと感じた人も中にはいることでしょう。そうです、単純なことなんです。思ってるより難しいことではないんです。私自身この単純な戦い方でぷよぷよクラシック6段まで上り詰めたわけですし。もちろん単純すぎてこの話にあてはまらない状況を作られると負けてしまいますが、そこは人間の持つ学習能力で補っていきましょう。それも一つの楽しさです。

 

 難しい技術は最初から難しいわけではなく、少なからず簡単な段階が存在します。そこをご理解いただければぷよぷよをもっと単純に捉え、そして気軽に楽しむことができるのかな、と思っていたり。

 

 

 

 

――後語り――

 

 ここまでご覧いただき有難うございます。ブログに文章を書き起こすのは初めてなので、内容が一貫していなかったり表現の仕方等至らぬ点があるかもしれませんが、温かく一つの読み物、一人の一意見として受け取っていただければ幸いです。

 

 今回のぷよらーアドカレ2015のテーマ、最初は「仮想敵の話」と「凝視不要の話」のどちらを取るか少々悩みました。というのも、身の周りで現実に存在しないような仮想敵を見据えて考察している人、目の前の相手よりも格上を想定して対戦している人、凝視するぞと意気込んだものの結果に結びつかない人など、なんというかこう・・・もったいない人が多かったんです。

 

 仮想敵については「空想の相手よりも目の前の相手を見よう」とざっくり片づけて、「やられたことを学習する」方針をとらせたほうが伸びそうかな?と思ったきり話が広がらなかったので結局不採用。

 

 凝視については自分がチラ見0~3回する程度の戦い方なのでなんとも言えない部分はありますが、「見て、理解して、対処する」という一連の流れが存在することを知ってほしい、という思いが強いです。どうも現実は「見る、理解できない、対処できない」っていう人が多い印象を受けますね(自分もその内の一人ですが)。

 

 あと、実力層によって話していいことと伏せたほうがいいことの水準が異なるので、その兼ね合いで結構悩みましたね・・・文章中では断言してるけれど実際は他にあんなことやこんなことが云々なので必ずしもこうとは限らない、という部分がちらりほらりと。

 

 後々「暴発は正義」「掘りは逆転の一手」「うまいセカンドとは」などなど書いておきたいことが増えましたが、それはまた何時か何処かで書き下ろすことにしましょう。繰り返しになりますが、ここまでご覧いただき有難うございました。